2009年08月17日

高速道路「無料化」は中断困難な巨大公共事業

まず、最初にはっきりさせなければならないのは、これは高速道路通行料の無料化ではなく、全額国庫負担化であり、自民党の現在実行している案は、一部国庫負担化、ということになるということです。
「国庫負担化」と言えば、税金を使うし、直接のユーザー負担がなくなる(減る)と分かりますが、「無料化」から国庫負担を知ることは難しいです。
民主党が国民に勘違いさせるためにそう言うのであれば、自己責任で民主党の勝手ですが、マスコミがそれに乗って国民に誤解を振りまくのは一体どういうことかと抗議したくなります。

この件は実のところ、利用者の通行料を税金で払って有料(高速)道路を運用するという公共事業です。
年間2兆円かかるという話ですが、それで税金として2兆円回収できる訳ではありません。なので、経済効果があるにしても、明らかに国庫からの持ち出しとなります。
しかも、高速道路は国有化で国道となり、その為の失業者は約5,000人も出るらしいです。なので、一度始めたら基本的にずっと続けなければならず、途中でやめるかもしれないのであれば、現在の組織を解体するのは無責任です。
なので、民主党に一度やらせてみれば?などという単純な話では済みません。

果たして、国庫の内の2兆円もの大金の今後数10年にも渡る使い道を、今決めてしまって本当に良いのでしょうか?
他にやらなければならないことが出来たとしても、そして国の経済状況がもっと悪化したとしても、基本的にこの支出はやめる訳にはゆきません。
今の自民党方式であれば、中止することも、再開することも、値引き額を変えることもそれなりに簡単に出来ます。
一度に沢山の失業者を出すことだってありません。
ただでさえ、そんなに(国が)上手く行っている時ではない訳ですから、訳の分からない冒険をする必要は全くないはずです。

また、1年で2兆円もの大金をつぎ込む訳ですから、費用対策効果も当然問題となります。これは単に、高速道路にその場で料金を払わずに利用することが出来て嬉しい、では済まない話です。

http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news1/20090814-OYT1T00174.htm

全国の高速道路料金の値下げ分は、家計や企業の懐に残る計算だ。第一生命経済研究所は「上限1000円」の経済波及効果を年7900億円とはじく。さらに、無料化の経済効果は年2兆円になるという。
試算は色々あるはずですが、これによると、現在の年間2,500億円かけている自民党方式で年7,900億円の経済効果。「無料化」の場合、年間2兆円かけて経済効果は2兆円です。

2兆円と言えば、例えなのでもちろん敢えて単純に書きますが、100億円のビルを200棟作ることが出来ます。そして、そのそれぞれに(良い計画で作るのを前提として)経済効果が生まれます。その200棟分の1年間での経済効果を敢えて「1」と書くことにします。そして、同額で、同じ経済効果を持つビルが10年に渡って作られ続けると仮定します。勿論、全くの単純に書きますので、それはご容赦下さい。
ビルが完成して1年目には、経済効果は単に「1」です。
その次の年には、次の200棟が完成します(すると仮定します)ので、経済効果は合わせて「2」となります。
3年目には合わせて600棟が稼働しますので、「3」ですね。そうやって、10年目では「10」となります。
ただ、では10年間で合わせてどれだけの経済効果が発生したかと言えば、1年目は「1」、2年目は「2」、3年目は「3」・・・10年目で「10」となりますので、1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=55、つまり合計で55となります。
しかし、高速道路の場合は、新路線の建設もあるのでしょうが、基本的にはあまり増えません。そのつもりで民主党が動いてますし、通行料での回収ではなく、税金で高速道路を造るとなれば、やはり建設は減ることとなるでしょう。
なので、やはり単純に言って、こちらもやはり1年間で高速道路全体から生まれる経済効果を「1」とすると(ビル200棟での「1」とは勿論中身の数字が全然違うことになります)、10年間ではおよそ、1+1+1+1+1+1+1+1+1+1=「10」となります。ビル200棟と高速道路では「1」の中身が違うので、単純には比較できないのですが、要するに、ビルを200棟づつ作った場合には、どんどん経済効果が加算されてゆくのに対し、高速道路から生まれる経済効果は、基本的に変わらないんですね。
勿論、高速道路が10年目に最初の年の1.2倍の総距離になっていれば、10年目に発生している経済効果は「1.2」となる訳ですが、ここでは敢えて、ほぼ変わらないとして考えています。
そして、例えば、20年目になると、ビルの経済効果の合計は「210」となり、高速道路「無料化」側は合計で「20」です。当然30年目、40年目になるともっと差は広がります。
つまり、私の言いたいのは、本当に高速道路の「無料化」が国税の効果的な使い道なのかということです。
2兆円あれば、色々なことが可能ですから、高速道路を「無料化」するよりももっと経済効果の上がる税金の用途があるかもしれません。
もしかしたら、この使い方は特に長期的にみると、鳩山氏が追放しようとしている「無駄」、しかも、とんでもなく大きな無駄なのかもしれません。
その辺りを真剣に検討することもなく、数10年に渡って高速道路料金に国庫から2兆円づつ支出することを決めるなど、本当に選挙対策だけで膨大な額の税金の使い道を決めるに等しいです。


JR東海:民主の「高速道路無料化」 社長が批判
割引制度に無料化公約…高速優遇にフェリー悲鳴
これらに国庫から補助金を出すなら、勿論その分も支出に加算されます。
ただ、ずっと高速料金が「無料」であるなら、フェリー会社は結局潰れるかもしれないので、果たして税金をつぎ込んでまで存続させるべきなのか、という話になるかもしれません。

高速道路料金:上限1000円、損失5億円 春の大型連休、東京−名古屋で分析
民主公約の高速無料化→CO2急増 シンクタンク試算
鳩山氏は何か反論したようですが、環境にも悪いというのが現在定説のようです。

あと、よくある誤解です。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/household/289518/
ETCがある人だけ割り引きなのは不公平
何度か乗るだけですぐに元が取れるので、買えば良いと思います。取り付けを自分でするならば、6,000円台から売ってるのを見たことがあります。
また、ETCが普及すれば、高速道路の出口での渋滞が相当緩和されますので、普及策としては効果的で良いと思います。
ただし、高速道路が「無料化」になれば、ETCは不要となります。また、その為に製品の製造ラインを増やしての増産は行われておらず、現在も安い物は売り切れているようですが。

物流コストが下がるので、物が安くなる
通行料方式だと、自分が買った商品を運んだトラックが払った高速料金を間接的に払うだけですが、国税方式だと、それに加えてレジャーに行った人や、車を飛ばしたくて高速道路に行った人の分の料金も、皆で払わなければなりません。


…(元)高速道路での渋滞が増えるとすれば、ETCは必要なくなっても、もっと高価なカーナビが必須アイテムとなるかもしれません。渋滞情報を把握しないと、高速道路を利用すべきか決められないかもしれませんので。

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